時を重ねて、変化を楽しむ~タンニンなめし革の経年変化(エイジング)~

いたがきの製品はタンニンなめしの革で作られています。
タンニンなめしとは、植物由来のタンニン剤をじっくりと時間をかけて革に浸透させて鞣すことです。
芯までタンニンの成分が行きわたるため、出来上がった革は収縮が少なく堅牢で、使うほど手に馴染み、艶や独特な風合いが増していく経年変化(エイジング)を味わえるのが特徴です。

経年劣化と経年変化(エイジング)の違い

通常、モノは使い古すと脆くなっていきます。これがいわゆる経年劣化ですが、同じようにタンニンなめし革もケアをしない状態が長く続くと、乾燥して革の柔軟性が失われ、ひび割れなどの劣化が起こります。この劣化を防ぐには、革の潤いを保つための定期的なお手入れが欠かせません。

 

保湿をしながら使うことで革表面が徐々に強くなり、質感は柔らかくなめらかに経年変化(エイジング)していきます。少しずつ豊かになる表情は、育てた人だけが味わえる喜びです。きちんと保湿をされた革は、キズやシミが出来ても風合いを損なわないため、唯一無二の表情が楽しめる。これが経年劣化と経年変化の大きな違いです。

使い込まれたタンニンなめしの革は、色が変化し艶が増します。これは手で触れることで、適度に皮脂から油分が補われた状態になるからです。革も人間の皮膚と同じで乾燥には弱く、長く使うためには保湿と油分の補給が必要になります。

 

そのため革がまだ固い始めの頃は、月に一度のお手入れが重要になります。水に濡らして固く絞ったタオルで表面を軽く拭き、残った水分は手のひらで撫でながら馴染ませて保湿します。革表面が乾いてから、やわらかい布で保護クリームを薄く塗り広げ、仕上げに手で温めるように磨き上げます。この一連のお手入れを繰り返すと、固く立ち上がっていた状態の繊維が次第に柔らかく馴染み、整えられた革の表面も傷つきにくくなります。

 

温かみのある革に触れていると自然と心が和み、お手入れをするたびに、新たな発見や驚きがあるのもタンニンなめし革を持つ醍醐味です。

 

タンニンなめし革は時を超えるタイムカプセル

革の経年変化には一つとして同じものがありません。使い方や環境によってそれぞれの味わいが生まれます。

ぜひ新品の革と愛用品を見比べてみてください。タンニンなめしの革が、自分と共に時間を重ねている様子が一目で分かると思います。

革は本来とても丈夫で、古くから生活のあらゆる場面で活用されてきました。長く使えるからこそ芽生える愛着や価値があり、単なるアイテムとしてだけではなく、思い出の一部として振り返ることもできる素材です。例えば、家族や友人や夫婦で同じものを買い「5年後の経年変化を見せあおうね」と、まるでタイムカプセルのように未来の約束へと繋げる。そんな使い方もとても素敵だと思います。

長く寄り添った革の表情が人生を映し出す

販売スタッフは、お客様の愛用品を見せていただく機会が多くあります。全国で催し物を担当する岩淵が、印象的だったエピソードを教えてくれました。

いたがき販売員 岩淵

いたがき販売員 岩淵

「横浜髙島屋でお会いしたお客様は、E604 ブックカバー文庫サイズを長年お使いで、同じものを購入される際に愛用品も見せていただきました。30年前いたがきに出会い『これは良い革だ』と購入して、それから毎日持ち歩き『やっぱりこの革はとても良かった』と実感したそうです。長い月日が刻まれた愛用品は、本当に豊かな表情で、その人の人生が映し出されているようなしみじみとした経年変化(エイジング)に、とても感動したことを覚えています。」

タンニンなめし革のエイジングは、形の変化にも表れます。毎日使うものは角に丸みが出て、よく触る部分は油分や水分を吸収し、ふっくらと優しい表情になります。初めはピッタリと隙間のない状態でも、入れた物の量や重さや体温などで、革の繊維が解れて形も変化します。鞄やリュックサックなども、使っているうちに革が自然と身体に沿うようになり、より背負い易くなります。革はゆっくりと時間をかけて使う人に寄り添ってくれる素材なのです。

 

いたがき直営店と催し物会場では、ご愛用品へのお手入れサービスだけでなく、アドバイスも行っておリます。ぜひご自宅でのケアにもチャレンジしていただき、自分だけの経年変化(エイジング)を長くお楽しみください。

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